草津温泉の秘密
草津温泉(群馬県)が、「旅のプロ」が選ぶ温泉ランキング(観光経済新聞社)で、連続第1位を保持し続けている秘密をさぐります。
全国第1位の温泉地
草津温泉(群馬県)は、「旅のプロ」が選ぶ温泉ランキング(観光経済新聞社)で、連続第1位を保持し続けている温泉地です。
加賀温泉郷や和倉温泉など、温泉地に囲まれた金沢に住んでいる私にとって、温泉はとても身近な存在。全国で一番支持されている温泉地の魅力は何なのか。とても興味津々でした。
草津温泉のシンボル「湯畑」
びっくり! 何でこんなに人がいるの?!
宿泊した旅館は、草津温泉のど真ん中にある「湯畑」(上写真)からほんの50mほど離れたところにある小さな宿でした。
夕方薄暗くなる頃に、長いドライブの末に到着した「湯畑」周辺は、人、人、人・・・(写真下)。歩行者天国なのか、それともイベント会場のなかに迷い込んでしまったのか。
そう思わせるくらいの人の波。こんなに人が歩き回っている温泉地を見たのは初めてでした。
湯畑周辺の大勢の人
こんなに違う温泉地の楽しみ方
加賀温泉郷や和倉温泉などの温泉地に出かけるのは、北陸に住んでいる私にとって大きな楽しみのひとつです。
北陸の温泉では、旅館に到着したらまずは大きな浴場でゆっくりと温泉に浸かります。露天風呂で同行者と語らい、部屋へ戻ってカニやブリなど新鮮な魚介類を中心とした豪華な料理を食べながらお酒を飲み、宴会後は酔い覚ましにもう一度浴場へでかける。
あるいは、ロビーに並ぶお土産コーナーをのぞいて買い物にいそしむ・・・。温泉の楽しみ方の定番は、こんなところではないでしょうか。
(1)「お酒は外で買ってきて」と番頭さんに言われる。
草津温泉の旅館に到着した私たちを出迎えてくれたのは、人の良さそうな年老いた番頭さんでした。3階の部屋に案内された直後、「食事のお酒はビール2本くらいでいいですか」と番頭さん。
食事をしながらちょっとした小宴会をイメージしていた私は、「もう少し飲みたいので、追加できますか?」と尋ねると、「飲みたければ、食事のあとで外の酒屋で買ってきて部屋で飲んだ方がいいよ」と勧められます。
これまで泊まったことのある旅館では、お酒類の持ち込みが禁止のところが多かったようです。「外で買ってきて」と旅館の人に言われたのは初めてでした。
(2)「温泉は3分以内で」・・・ ゆっくり入れない温泉。
食事は短時間で済ませてもらいたいのかなあ、と思いながら、じゃあゆっくり温泉に入ろうかと思っていると・・・。^m^
「ここの温泉は熱いですから、お湯をかぶって徐々に入ってください。肩までつかったら最長で3分。それ以上入っていると、絶対に湯あたりするので、気をつけてください。」
ええっ!(@_@;)
ここではゆっくり温泉にも入れないのですか!?
お風呂場では、宿泊者のみなさんは、5分足らずで上がって行かれます。ゆっくり湯船に浸かっている人は誰もいませんでした。そのため湯船は小さく、3畳程度の広さでした。
(3)「ご飯を食べたら、外に出てみて」 ・・・ 温泉旅館で初めて言われました。
「お湯は24時間入れますから、食事されたら外へ出られた方がいいですよ。お土産も外で。」
これもまた、これまでの温泉経験の中で、旅館で言われた初めての言葉でした。
しかし、宴会の期待も、ゆっくり湯に浸かる希望も断念させられ、思わず「ええ!?、そんなの温泉じゃないよお」と思ってしまった私。
しぶしぶながら番頭さんの指示に従い、ほんとにただの食事(日常的な食事という意味です)を済ませ、外にでて散歩でも・・・。
(4)本物の「温泉街」を満喫
曲がりくねった街路と饅頭屋さん
いやあ、面白い。
まずはお約束の草津のシンボル「湯畑」に。おお、テレビで見たのと同じだ。\(^o^)/
湯畑を一周し、脇道へ入ると細い道が網のように巡っています。引き込まれるように細街路へ。お饅頭屋さんやお土産屋さんなどが軒をつらねており、歩いても歩いてもどこまでも続く。
クルマで入ってきたときは気づきませんでしたが、外に集まっている大勢の人は、旅館ごとに違う浴衣と丹前を着ており、みなさん宿泊客であることは一目瞭然。思い思いに写真をとったり、買い物をしたり・・・。
温泉の湯気と硫黄の匂いが漂い、狭い道路の両脇に並ぶお饅頭屋さんの湯気が行く手を遮り、あの向こうには何があるのだろうという期待を感じさせる迷路のような道路。
格別街並みが優れているわけでも、面白いアトラクションがあるわけでもないのですが、「これぞ温泉街」という気分を満喫。
北陸の温泉と比べてみると
食事や浴場の豪華さは、北陸の温泉の圧勝です。美味しいものを食べて、ゆっくりと湯につかるという楽しみを満喫できることうけあいです。
ほんの一泊の滞在でしたが、私が草津温泉で感じたことは、あるがままの魅力です。
草津の温泉旅館の食事は、宴会料理というには寂しく、ゆっくりと入りたくなるようなゴージャスな浴場はありません。
何しろ、内陸の火山の麓にある温泉地です。そもそも新鮮な魚介類を集めようとしても、無理な話なのでしょう。
まちなかに漂う湯煙や硫黄の匂い、迷路のような街路やいろいろなお店でかたちづくられる本物の「温泉街」。それらが草津温泉の魅力なのですから、豪華な食事や大浴場は、ここではむしろ「邪魔なもの」なのかもしれません。
(NA)