株式会社計画情報研究所

COLUMN

南仏エクス・アン・プロヴァンス


道に溢れ出している店

エクス・アン・プロヴァンスは、人口約14万人のまちです。6月末~9月の期間、多くの観光客がヴァカンスに訪れます。さらっとした暖かい空気に樹木が作り出す木陰。エクス・アン・プロヴァンスの魅力をお届けします。

まちなか全体が1つの空間


道に溢れ出している店

旧市街地の道は、細く複雑に形成されています。このまちでは、まちなかで歩行者が道の真ん中を歩きます。日中、観光客用の車両の通行はあるものの、ほとんど車両の通行は見かけません。歩行者は車に対する注意を払わずに通行しており、まちなかは静かです。そのため、まちなかからはオープンカフェのお客や歩行者の話し声、路上演奏者の音楽が聞こえてきます。


噴水を囲んで過ごす人々

車の通行が少なく、各店舗が店外にオープンカフェや商品陳列を行っていることで、店舗と道路、店舗に居る人と外を歩いている人々の間に垣根がなく、まちなかが大きな1つの空間になっています。そのため、まちなかに居ると、人と人との距離の近さを感じることができます。

ゆったりとした南仏時間

多くの観光客が訪れるまちですが、このまちの人々は自分達の生活を大切にしています。一番驚いたことは、日曜日にお店が空いていないということです。このまちの人々にとって、仕事は自分の生活を侵さない程度に行うもののようです。また、平日にもかかわらず夜になるとカフェやバーには多くの住民が談議する姿を見かけます。

このまちの人々には、ゆっくりとした「南仏時間」時間が流れています。今回、私は知人の結婚式へ出席するためにこのまちを訪れました。当日、教会で行われる式の開始予定時間を過ぎても誰も焦りません。焦って時間を気にしていたのは日本人の私たちだけでした。日本では当たり前の決まり決まった時間感覚は、このまちではあまり必要とされません。

まちなかで時計を見つけることはとても難しく、レストランにも時計はありません。このまちの人々には、アクセクせずに時間を楽しむ心の余裕があります。

個性的な噴水の数々

まちには、多くの個性的な噴水があり、そのまわりには広場があります。飲食店の多くがオープンカフェのスペースを持っており、噴水のまわりには楽しげに食事やお茶をする人々の姿を見ることができます。


イルカの噴水


植物が生えた噴水

複数の役割を担う広場

広場は、さまざまな役割を担っています。

午前中、広場を訪れると活気に溢れる市場を見ることができます。野菜、パン、ハーブ、チーズ等のさまざまな商品が並び、地元住民の台所となっています。
午後には、イベントスペースとして使用されることもあります。私が訪れた時は、子供向けのペインティング イベントが開催されていました。明るい日差しのなか、噴水の周りにオープンカフェが立ち並び、子供たちが絵を書く姿は、楽しいまちの雰囲気を作り出します。


活気あふれる市場


ペインティングイベント

まちなかの交通

エクス・アン・プロヴァンスを訪れて、目を引く乗り物が2つあります。

1つは、観光客向けのミニトレインで、観光地を周遊します。乗客は、ヘッドフォンを使って日本語を含む8ヶ国語の観光案内のアナウンスを聞くことができます。まちなかには許可車のみ通行することが出来る道があり、道の真ん中にはライジングボラードと操作のための機械が設置されています。運転手は、通行する際に機械を操作し、ライジングボラードを下げて通行します。

2つ目は、「La Diabline(ラ・ディアブリヌ)」です。これは、電気自動車を使ったバスです。3つのルートが設定されており、細い道を小さな車体で通行する様子は、金沢の街なかを走る「金沢ふらっとバス」を思い起こさせます。


ミニトレイン車両


LaDiabline車両


LaDiabline車両内からの眺め

おいしい食事

日本人が食べなれているビザやパスタ等の料理が多く、日本人好みの味付けとなっています。オリーブとハーブの産地とあって、料理にもオリーブやハーブが使われていますが、わざとらしくなく、嫌味のない使い方です。


オリーブを使ったサラダ


ハーブがトマトに刺さっています

信仰 幸運のシンボル「セミ」

セミがよく鳴く夏が訪れると農作物の収穫も豊かになるという言い伝えがあり、セミが幸運のシンボルとされています。今でも家にセミを模った置物を飾る習慣が残っており、お土産物に陶器のセミが売られています。この他にもセミをモチーフにしたお土産が多く見られます。


陶器のセミ


セミが描かれたアドレス帳

(OHO)