哲学と経済と政治と身近なできごと
何気なく手に取ったのだが、出会えてよかった本。
経済思想の専門家、斉藤幸平がマイケル・ハート(MH)、マルクス・ガブリエル(MG)、ポール・メイソン(PM)と対談。
MHとの対談では、新自由主義、政治的ポピュリズムを超える実践としてコモンの民主的管理を位置づけるMHの理論展開が段階的に分かり、多くの発想を得た。
マルクス・ガブリエルが提唱する「新実在論」は、社会構築主義を超えるアプローチであり難解であるが、対談という形式であれば理解が進む。構築主義では腑に落ちなかった実在と認識の関係を、より実感に近い概念で捉えることができる点が特徴だ。
日常との距離を感じてしまう哲学ではなく、今起きている経済と政治と身近なできごとがつながる現代思想の展開に大きな刺激を受けた。
(米田)